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2015/03/31

国際認証講座 ~環境・社会・生物多様性・そしてエシカルヘ~① 山口 真奈美

noday
エシカル日本

 企業の皆様は今までさまざまな環境・CSR活動を通じて、環境へのダメージを最大限に減らし社会的にも大きな意義のある活動をされてきた。しかし、一方で自然環境の破壊や絶滅に瀕する動植物、気候変動や乱獲、また児童労働や過酷な状況で長時間労働を強いられるような、社会問題も世界には潜んでおり、私たちの企業活動がそれらの問題に一切加担していないと言い切れる企業がどれだけあるだろうか。

 企業活動をより環境や社会に配慮した、いわばエシカルな活動として推進していくために、国際的な認証システムを導入する例がある。例えば商品の製造過程で原産地から最終製品に至るまで、独立した第三者の立場で国や国際基準を用いて審査を実施し認証させていただくことで、その透明性を確保し企業理念に反しない活動へと繋げるお手伝いをする、それが今の私の仕事である。Control Unionは独立した第三者検査・認証審査機関であり、オランダ本部の他、世界約60カ国以上で船積みの検査をはじめ、国際的な認証、そしてバイオマスやエネルギー関係など多岐にわたる事業を展開、お客様にとって持続可能なビジネスのための外部要求事項の増加に応えるお手伝いをしている。

 特に日本では環境や社会・生物多様性等に配慮した国際認証を中心に活動しており、感謝すべきことに今回より国際的な認証について連載の機会を頂いた。私自身は以前から環境やCSR関連のお仕事をさせていただいているのだが、幼いころから森林保全や環境保護に関心があり、関連する仕事に就きたいという想いから今に至っている。

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 幼いころテレビや本、メディアを通じて、特に日本ではあまり実感のない熱帯雨林の破壊など、森が大きく切り倒され豊かな森が見るも無残な状況へと変貌してしまうという衝撃的な映像を見て、そこに棲む動植物が絶滅に瀕している現実を知らされた。幼心にとても悲しい思いをしたのを記憶している。そしてその原因に遠く離れた日本の企業も少なからず関係していることを知り、森林保全や環境保護の仕事に就きたいと考え始めた。

 当時は職業を選ぶ際に「環境」というカテゴリーなどは当然なく、国際公務員(国際連合の職員)か環境保護団体、研究者、もしくは企業の環境担当につくにはどうしたらいいのかなど、想いをめぐらしていたが、とりあえず国連を目指そう!と安易ながら思い、受験資格でもある修士を最低限得ようと大学院に進学。徐々に世の中が環境ブームになる中で、私のような若輩者でもその分野のさまざまなお仕事を頂くことができ、財団や研究所などを経て独立した。

 企業が地球環境や社会に与える影響は少なくない。企業の活動を持続可能な形で発展させるためには、環境・CSRの観点は無視することはできない。モノづくりをしているのであれば、その原材料が継続的に調達できなければならないし、作り手となる人々の労働条件なども考慮すると、貧困や児童労働、労働の搾取といった社会問題も無視することができない。特に調達や生産を海外に依存している場合はなおさらだ。その現状把握がどこまでできているのか、問題点があればどのように改善しているのかを、実際の消費者に伝えている企業はまだ多いとは言えないだろう。

 認証の仕事は、「誰が、どこから、どのように調達したのか、その自然環境への影響は?働いている人々の状況は?」など、原料調達から最終製品に至るまですべての工程に関与する企業や農場・団体の現場へと審査員が訪れ、国もしくは国際団体が定める基準に基づいて調べ、書類・現場・働く人々へのヒアリング等を経て審査員が報告書を作成。その報告書をもとにさらなる判定がなされ、証明書が発行されるというもの。そして、認証の基本は、主に策定された基準に合致しているかを、利害関係のない第三者の立場から公平な立場で確認するものである。

 その認証の世界とは?その仕組みやどのような認証が今世界では必要とされ展開されているのかなど、今後ご紹介していきたいと思う。

やまぐち・まなみ Control Union Japan 代表取締役

環境新聞2014年5月28日付掲載

 

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