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2015/07/02

エシカル消費 日本的解釈を問題提起~消費者庁研究会

fukuhara
エシカル日本

 社会や環境に配慮した消費行動の概念「エシカル(倫理的)消費」の国内普及に向けた必要事項などを検討する消費者庁の研究会が先月26日に開かれ、欧米発の「エシカル」の解釈や生産側の情報開示の必要性などが話し合われた。
 このほど開かれたのは、「倫理的消費」調査研究会。エシカル消費の定義・範囲から評価基準、国内外の普及実態などを検討、調査するもので、日本エシカル推進協議会の山本良一代表が座長を努める。今年度は全6回の開催が予定されている。

 5月の初回以来、2回目の開催となる今回は、倫理的消費の必要性と効果について、足立直樹委員(レスポンスアビリティ社長)など4名の委員が発表した。
 また、研究会設置当初から予定する海外での実態調査の内容案が初めて示された。調査項目はエシカル消費にかかわる①現状(定義・範囲)②課題③促進に向けた取り組み――の3点で、文献調査と現地調査を実施する。現地調査は9~10月、英億やその他欧州の行政機関や企業、NGOなどを対象に行う予定。調査に同行する委員として、中原秀樹委員(東京都市大学教授)と渡辺龍也(東京経済大学教授)が指名された。
 4名の発表を受けて、河口真理子委員(大和総研調査本部主席研究員)は欧米発の概念である「エシカル」について、「日本では思いやりとおもてなしの消費と言える。(日本人に受け入れられやすい)コンセプトをどう考えるか議論が必要では」と問題を提起した。
 それに対し、足立氏は「ほとんどは倫理でなく論理で説明できる。森林の価値や、資源を使いすぎてはいけないことなどは基本的な価値観で共有できる。倫理と思われるとスタートが崩壊する。論理で訴えるほうがしっくりくるのでは」と提案した。
 また消費者団体を代表し、佐野真理子氏(主婦連合会参与/グリーンコンシューマー東京ネット理事)は「事業者の情報開示がしっかりしていないと進まない」と指摘。「消費者は考えている。頭では非常に理解しているが、うまく行動に結び付かない。エシカルというと拒否反応がある。言葉より中身。物を作るということが一番大事。消費(の責任)を全面に出されると引いてしまうところがある。情報提供のシステムを考えていければ」と述べた。

環境新聞2015年7月1日付掲載

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