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2015/12/10

ソーシャルコンシェルジュのエシカル手帖⑤~フェアウッドの家具を探そう 林民子

fukuhara
エシカル日本

今月のテーマは、エシカルな衣・食・住の「住」。

エシカルな“住”環境、環境新聞の読者のみなさんでしたら、どんなことを重要視するでしょうか? 私の場合、家自体も、インテリアの家具も、できれば「フェアウッド」、FSC(Forest Stewardship Council 、森林認証制度)の木材を使用したものにしたいと常々考えています。徐々に定着しつつある「フェアウッド」とは、伐採地の森林環境や地域社会に配慮した木材・木材製品のこと。修理・再生した木製品[Reduce, Reuse]、古材や廃材を再使用した木製品[Recycle]、最低限、違法伐採でない木材[合法材]、近くの森林から生産された木材[国産材、顔の見える木材]、地域住民が自ら適切に森林管理している木材[コミュニティ材、フェアトレード]、そして、信頼できる第三者機関の森林認証を受けた木材[森林認証材]を言います。

そんな国内外のフェアウッドを積極的に使用し、家具づくりを行っているのが、家具・インテリア業界のパイオニア的存在である株式会社ワイス・ワイス。先日、ワイス・ワイスが中心となって国連大学にて「WISE FORUM 2015 」が開催されました。今年のテーマは「幸せな未来を創造する―国産材とビジネス―」。日本において、フェアウッドを推進する多様な自治体や団体、企業の活動事例のプレゼンテーションを聞くことができました。

FSCの認証を日本国内で初めて取得した林業家で、株式会社森林再生システム代表の速水享氏や宮崎県諸塚村の“産直住宅”事業の立役者である矢房孝広氏、諸塚村企画課長兼地方創生担当課長なども登壇。特に興味深かったのは、木造建築の柱と梁、基礎と柱を緊結する接合金物構法である、KES(Kimura Excellent Structure System)構法を編み出した株式会社シェルター代表取締役、木村一義氏の取り組み。阪神淡路大震災や東日本大震災の激震、そして巨大津波でコンクリート建築建物も多く倒壊、流失した中、KES構法で建てた木造建築の建物が全て耐え抜いていた事実がメディアの注目を浴びたので、ご存じの方も多いと思います。木村氏が提唱する、日本の豊富な森林資源を活用し、最先端の木構造技術を駆使し、関連業者が連携し進められている「木造都市づくり」の展開は今後も注目していきたいと思っています。

日本は、国土面積の2/3が森林であり、世界有数の森林大国と言われています。この日本の貴重な資源をどのように生かすか? そこに“地方創生”のヒントがあるような気がします。いわゆる一生使えるような“ロングライフデザイン”のフェアウッド家具、実は探すとたくさんあります。価格的に決して安いものではないですが、“経年優化”(経年劣化の反対語を意味した造語です)で、年を重ねるごとに味の出る、長い目でみると、決して高いお買物ではないはず。なにより、暮らしの中に本物の木があると、空間に温かみを放ち、癒されます。

林さん①.jpg

先述の株式会社シェルターの木村氏の著書「木造都市への挑戦」の中で、木村氏が世界的に有名な建築家坂茂氏と対談されています。(坂氏の最初に設計した作品は、株式会社シェルターと一緒に手掛けたものなのだそうです。)その対談での木村氏の言葉を最後に。「クオリティー・オブ・ライフは、住宅の質によって決まる」。

写真は上が「WISE FORUM 2015 」に登壇する株式会社ワイス・ワイス代表取締役佐藤岳利氏。下は株式会社シェルターの木村氏の著書「木造都市への挑戦」。

◎フェアウッド・パートナーズ  https://www.fairwood.jp
12月16日(水)、「フェアウッド研究部会」のキックオフミーティングが東京青山の株式会社ワイス・ワイスにて開催されます。ご興味ある方はぜひこちらのウェブサイトをご覧下さい。
◎FSC ジャパン(NPO法人 日本森林管理協議会)https://jp.fsc.org/jp

はやし・たみこ/NPO法人ソーシャル コンシェルジュ/SHOKAYジャパンオフィス 代表

環境新聞2015年12月9日付掲載

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