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2016/04/07

ソーシャルコンシェルジュのエシカル手帖⑨~住まいは「第3の皮膚」 林民子

fukuhara
エシカル日本

 2009年に誕生した世界最大の住宅デザインサイト「Houzz(ハウズ)」。すでに世界中から2000万人以上のユーザーと、約70万の住宅リフォーム専門業者が登録しているのだとか。15年4月に日本でのサービスも開始し、ご覧になった人も多いのでは。

 このハウズで“Eco House”、“Sustainable House”と検索すると、世界中のスタイリッシュなエコ住宅のストーリーをチェックすることができます。“夢のMyエコハウス”の参考となるアイディアの宝庫で、いつも時間を忘れてしまうほど魅入ってしまいます。
 “エコハウス”と言ってもさまざまな定義、要素がありますが、いつか“エコハウス”を新築したい、またはリフォームしたいと考えている読者の皆さんは、一番何を重要視していますか? 
 私は、昔からアレルギー体質なので、ホルムアルデヒドなど化学物質を極力使用しない自然素材にこだわった家に興味があり、札幌で20年間、健康と環境に配慮した住宅づくりをされている「ビオプラス西條デザイン」の取り組みに大変興味がありました。「ビオプラス西條デザイン」代表取締役である西條正幸さんは、環境負荷の低減を目指し、材料に徹底的にこだわった家づくりをされています。日本の里山文化やパーマカルチャーの考えを取り入れ、循環型の住まいのコミュニティであるエコビレッジも北海道で推進しています。また、札幌市内に無農薬、無化学肥料をルールにした有機栽培の共同菜園も運営されたり、『やさしい自然派住宅』という本も書かれています。

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 西條さんが、厳選された自然素材の家づくりを研究されたのは、お子さんのアトピー性皮膚炎がきっかけだったそうです。“地材地消”の北海道産木材は無垢材を推奨し、接着剤に注意を払い使用量も減らすことを提案。漆喰や珪藻土、ゼオライトや炭など、調湿性や臭いを分解する空気清浄効果もある機能性建材も多用し、床、壁、断熱材、塗料、ワックスも天然のものを積極的に活用されてきました。
 ドイツで1960年代からアントン・シュナイダーが提唱してきた“バウビオロギー(建築生物学)”やエコロジカル建築の学問では、住まいを「第3の皮膚」と捉えます。
 西條さんも、この「第3の皮膚」がきちんと呼吸できているかを大切にします。
 衣服が「第2の皮膚」、住まいは「第3の皮膚」。衣服も家も、なるべく自然素材のものを選択し、着心地、住み心地の良いものにしたいですよね。
 エコハウスの要素は、もちろん素材だけではありません。太陽光や風力を最大限利用し、調節することによって、暮らしに必要な明るさ、暖かさ、涼しさ、新鮮な空気を獲得する設計、いわゆる「パッシブデザイン」。テクノロジーを活かした省エネ、創エネのシステム。キッチン薪ストーブやペレットストーブも気になります……。理想のエコハウスの妄想は、“持続可能“に広がります。

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写真は上から、西條氏が手がけた石狩当別町にある菜園付きエコアパート「かたくりの里とうべつ」、西條正幸社長、「ビオプラス西條デザイン」社屋

はやし・たみこ/NPO法人ソーシャル コンシェルジュ/SHOKAYジャパンオフィス 代表

環境新聞2016年4月6日付掲載

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