積水化学の上ノ山智史氏が、第27回エシカル朝食会で講演
fukuhara日本エシカル推進協議会は2月13日、東京都千代田区の学士会館で第27回エシカル朝食会を開催した。今回は、積水化学工業の上ノ山智史・取締役専務執行役員が登壇し、「Fear, Desire, Will -CTOとして-」という演題で講演した。
積水化学工業は、昭和22年に設立。カンパニー制を採用し、住宅カンパニー、環境・ライフラインカンパニー、高機能プラスチックスカンパニーの3カンパニーと、その他の事業領域を開拓する「コーポレート」で構成する。コーポレートの研究開発費は全社の17%を占めており、環境・エネルギーに関する将来事業の企画開発を担っている。
同社の事業基盤は1980年までに作られ、既存事業の8割は継続の見通しがある。その一方で、新規事業の創出は、成長を続けるための基盤として、十分な成果に至っていない。上ノ山氏は、「細い一本の水の流れを必死に作っていく労力の連続で、100%新しい工夫をしても、80%は空回りの連続」と述べる。
新たな挑戦を続ける原動力は、「Fear」, 「Desire」, 「Will」の3つ。「Fear」(ホラーストーリー)とは、「このままでは会社がつぶれる」という強い危機意識。「Desire」は、「世界で一番 社会から愛され、社会から応援される会社にしたい」という認識。「Will」は、「トップ(CEO、CTO)の推進力で後世に財産を残す」という意志だ。この3つを持ち、さらに「圧倒的に勝ち切るストーリー作り」が成長に重要という。
同社は、これまでの開発を通じて、住宅に利用できる「大容量フィルム型リチウムイオン電池」や「フィルム型色素増感太陽電池」などの製品のほか、世界初の「ごみをエタノールに変換する技術」などを実現した。
近年、問題への認識が高まっている海洋汚染プラスチック問題に関連し、上ノ山氏は、「タイヤは新品から廃棄までに16%がすり減るが、それはどこに行っているのか疑問」と話す。世界自然保護連合の推計によると、マイクロプラスチックの発生要因は、化学繊維35%、 タイヤ28%、ストロー0.1%以下とされる。「生態に与えるプラスチックの影響をもっと正確に把握し、しっかりとプラスチック問題を議論していきたい」と問題への関心を示した。
講演の前には、特別報告としてアディダスジャパンのSEA/グループ法務本部コンプライアンスマネージャー・奈良朋美氏が「アディダスの責任あるサプライチェーンとサステナブル製品の取り組みについて」講演し、海に捨てられたプラスチックごみから作られたランニングシューズを紹介した。
なお、今回のエシカル朝食会のメニューは下記の通り。
・大野村農園(福島)自然飼育たまごとユリ根(北海道)のとろみスープ
・しゃきしゃきレンコン(千葉)の胡麻和え
・チーマディラーパ(埼玉)のサラダ
・バナナ(エクアドル)
・エシカルジャム(栃木のとちおとめ)
・牛乳
・ジュース
・コーヒー(フェアトレード商品)