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日本エシカル推進協議会
2016/12/16

小泉純一郎元首相 「直ちに原発ゼロを」~エシカル朝食会で講演

fukuhara
エシカル日本

 

 小泉純一郎元首相は6日、日本エシカル推進協議会(JEI、代表=山本良一・東京大学名誉教授)が東京都千代田区の学士会館で開いた第8回エシカル朝食会で、「日本の歩むべき道」をテーマに講演し、「わが国は直ちに原発ゼロにすべき」と力説した。太陽光や風力、バイオマス、地熱、水力などの再生可能エネルギーに転換することで、「世界から見直される国になる」として、原子力発電からの政策転換を強く訴えた。

 エシカル朝食会は、会員らが朝食を交えながら「エシカル」について議論し理解を深めるためのもので、今年1月から1、2カ月に1度開かれている。ほぼ毎回、謝礼・交通費なしのゲスト講師による講演が行われており、これまでに板東久美子元消費者庁長官や小林喜光三菱ケミカルホールディングス取締役会長などが講演している。 

 2011年の東京電力福島第1原子力発電所事故は「天災でなく人災」と語る小泉氏。東電は、津波の危険性を事故前から指摘されていたにもかかわらず安全対策を取っておらず、3・11の津波は「想定外」とした。

 原発は「一番コストが安い」とする一方で、ひとたび事故が起これば、賠償や除染、中間貯蔵施設、廃炉費用と長年に渡り多大な費用がかる。小泉氏は、「これらの費用を含めれば高くつくことは明白であり、それでも安いというのであれば、国は支援しないで、自力で対応させるべき」と指摘した。

 また、全国の原発が放射性廃棄物の処分に関する問題を抱えている。小泉氏はフィンランドの高レベル放射性廃棄物最終処分場「オンカロ」を視察。地下400㍍以下の岩盤地層に使用済み核燃料棒などの核廃棄物を埋設させる施設だが、それでも原発2基分しか処分できない。「日本でこのような処分場は造るのは難しく、原発を再稼働させるのは無理」との見解を示した。

 原発の安全性については、「世界一」とする政府の安全基準に疑問を呈し、原発の稼働にテロ対策と避難計画を求める米国と比較して、「テロで攻撃されたらどうするのか」と指摘した。

 小泉氏は、細川護熙元首相などとともに、原発ゼロを推進する団体「自然エネルギー推進会議」(代表理事=細川氏)を発足。原発再稼働に反対し、地方の自然エネルギー事業の支援などに取り組んでいる。

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環境新聞2016年12月14日付掲載

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