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2017/08/01

国際認証講座・特別編 ~持続可能な社会とエシカル、認証のその先へ~ 山口 真奈美

fukuhara
エシカル日本

 オーガニック・フェアトレードなどの認証マーク付き製品が日本においても手に取りやすくなってきています。貴方も一度くらいは目にしたことがあるのでは?と思われますが、エシカルな認証製品は普及しているのでしょうか。

 エシカルな認証製品といってもその定義は実に曖昧で、各課題や産業別のテーマによって、さまざまな認証があることを今までの連載で紹介してきました。認証審査の結果、付加することができる認証ラベルについても、実際に使うことができるもの、団体のロゴであり製品にはつけられないものなどさまざまです。そして、そもそも認証とラベルとの混乱があることでしょう。

 具体的に見ていきますと、森林認証ではFSC・PEFC・SGECなどがあります。そして、これらは東京オリンピック・パラリンピックの「持続可能性に配慮した調達コード」でも触れられており、企業の活動においても無視することができない状況とも言えるでしょう。
 しかしながら製品としてラベル付きの商品が消費者の手に届いているかという視点で見ると、FSCの製品でノートなどの文房具やティッシュは小売店でも目にすることが出来ます。また、木製品も少しずつ増えていますが、まだまだ身近と言うには、ほど遠いかもしれません。

 実は、売られている商品そのものではなく、飲料などのパッケージや洋服を購入した時のタグとしても目にすることができます。つまり「使っているこの紙はFSCです」という使われ方も多く、CSRレポートなどの印刷物でも使用されてきました。
 オーガニックやフェアトレードなどは消費者にとって分かりやすく、製品のみならずフェアトレードタウンなどの取り組みもあります。食の分野ではオーガニックだけではなく、MSCやASCなどの水産物も店頭で目にする機会が増えました。

 そこで認証製品の意義を伝える難しさがあります。特に日常の生活を支える食品や日用品では、「他のものより美味しいの?体に良いの?」「安いの?高いの?」など、地球上の環境・社会的な問題解決という背景よりも、その商品価値や手に取る人個人のメリットを問われるからです。

 消費者庁では「倫理的消費」調査研究会にて、倫理的消費に関する消費者意識のアンケートを行い、その結果エシカルな商品・サービスの購入検討理由として、「社会貢献につながること」を挙げる回答が多く、購入しない理由として、「価格が高い」というよりも「本当にエシカルかどうかわからない」「どれがエシカルな商品かわからない」といった回答が多く見られました。

 研究会では「これらの情報をどう消費者に伝えていくかが課題」としており、消費者にも事業者の方々にも、適切な情報の共有とコミュニケーションが求められることでしょう。
 生産者と消費者が、近くで顔の見える関係からはみ出てしまった結果、その商品は本当に良いものなのか、エシカルなのか、環境に配慮しているのか、森を破壊せず、魚を乱獲せず、過酷な労働が背景に隠れていないのかを見分けるための一つの手段として、認証ラベルは使われています。

 先月、ドイツ・ニュルンベルクで開催された「BIOFACH(ビオファ) 」(写真)という国際展示会を訪れました。そこでは、健康と環境に配慮したオーガニック食品・製品がひしめき合い、展示と同時に当然ながら商談する方々も多数。同時開催された「Vivaness」では、化粧品やウェルネス関連のコーナーもあり、そもそも展示会への出展基準で認証がなければ難しいという設定なのですが、これほどまでに認証製品があるのかと圧倒されました。

 日本でも、「国際オーガニックEXPO 2017together with BIOFACH JAPAN」が、8月24日から3日間、パシフィコ横浜で開催されます。日本の良さを生かしながら、「日本はガラパゴス化している」と言われないよう、自分自身をビジネスと消費者として切り離すのではなく、一個人として未来に向けたビジネスのあり方を再構築する時代に来ているのかもしれません。

やまぐち・まなみ/Ethical Life Advisor

環境新聞2017年3月29日付掲載

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