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2016/03/09

ソーシャルコンシェルジュのエシカル手帖⑧~理想のサステナブル・タウンを求めて 林民子

fukuhara
エシカル日本

世界で最も影響力があるとされる米大手旅行雑誌『トラベル+レジャー』で、2年連続、世界で一番訪れたい観光都市NO・1に選ばれた京都。もちろん、日本が誇る観光都市ですが、サステナブルな都市としても海外で定評があります。

京都市には、「京(みやこ)エコロジーセンター」という、1997年の「地球温暖化防止京都会議(COP3)」の開催を記念してオープンされた環境学習と環境保全活動の拠点となる施設があります。私が伺った時も、大勢の外国人が視察されていました。

1階、2階の展示コーナーは、地球規模での環境問題から京都ならではのエコロジーの知恵まで、体験型で学べる展示がされており、国籍を問わず、年齢を問わず、展示を見るだけで、楽しみながら、環境について学べるさまざまな仕掛けがありました。また、建物全体も、太陽光発電、雨水利用、地熱利用、高断熱外壁をはじめ、省エネルギー・省資源型の設備を導入し、さらに、自然素材を生かした材料やリサイクル建材も活用されたものになっています。

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環境関連の書籍をセレクトした図書コーナーもあり、”エコ厨房“や”リサイクル工房“などの部屋もありました。ルーフガーデンにつながるパティオ(中庭)はまるでおしゃれなカフェのような雰囲気。屋上には、野菜畑や小さな田んぼ、ビオトープ(地域の生きものの命を育み、人と自然との関わりを学ぶ空間)があり、刈った草を入れ、堆肥をつくる木製ボックスやコンポスト(生ごみや木屑などの有機物を微生物により発酵させた堆肥にする入れ物)まで設置されていました。子供も大人も環境について学ぶベストスポットであり、何時間いても飽きない、とても居心地の良い空間でした。

また、館内には、修理・リユースナビサイト「もっぺん」などを運営する「京都市ごみ減量推進会議」や「京のアジェンダ21フォーラム」のオフィスも入っていました。

ここを訪れるだけでも、京都市が多種多様な環境プロジェクトを展開してきたことがわかります。

京都市や環境省の環境政策にも関わっている環境コンサルティング会社「株式会社 E-konzal/イー・コンザル」の代表取締役 榎原友樹さんが教えて下さったのですが、京都市は、マレーシアや中国などにも環境教育のノウハウを積極的に輸出しているのだそうです。

京都には、“大切に最後まで使い切る”という倹約の考え方を意味する「しまつのこころ」や「門掃き(かどはき)」、「打ち水」の慣習など、自然を敬いながら生きるという伝統的な知恵があり、昔から環境にやさしい暮らし方を実践してきた文化があります。

ドイツのメルケル首相も「環境にいいことしていますか?」という意味で使っていた、「DO YOU KYOTO?」という言葉。京都に観光に訪れる全ての観光客がおみやげに持ち帰ってもらいたいものです。

環境新聞2016年3月9日付掲載

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