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2015/04/28

都内でオーガニックシンポ~震災4年、消費者の意識高まる

fukuhara
エシカル日本

有機農業(オーガニック)による商品の市場拡大を目指し、農業生産者から企業、消費者までさまざまな関係者が集まり議論するシンポジウムが24、25日に東京都内で開かれた。「奇跡のリンゴ」で知られる自然栽培農家の木村秋則氏をはじめ、日本の有機農業の第一人者とされる金子美登氏、オーガニック食品中心のスーパーで黒字経営を続ける福島屋の福島徹氏など国内オーガニック産業の著名人が集結した。
 東日本大震災から4年を経て、消費者による食の安全や環境に対する意識が高まっている。中でも若い世代を中心に「エシカル」や「サステイナブル」といった概念が徐々に浸透し、食品の他にも衣服や化粧品などの分野でオーガニックやナチュラルな製品を取り入れようとする消費者が増えている。

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 オーガニックの一大イベントとして催されたのは、「第2回とことんオーガニックシンポジウム2015」。環境保全型農業を推進する一般社団法人「フードトラストプロジェクト」(代表・徳江倫明)が主催し、2011年の第1回から4年を経て、2回目の開催となった。
 記念講演に立った木村秋則氏は、自然と共生する循環型農業の在り方を説き、「いろんな栽培法があって、ばらばらに取り組むことは意味がない。買ってくださるお客さんに、より安心を届ける野菜や果物、お米を作ることが目標。生産者が意見を交換する機会をもっと増やし、一つの船に乗って日本の食をグレードアップしたいと夢を見ている」などと述べた。
 また有機農業と企業の連携をテーマとしたパネルディスカッションでは、金子美登氏や、『里山資本主義』著者の藻谷浩介氏らが登壇した。
 オーガニックに限らず、国内では障害者雇用、女性取締役の登用などさまざまな社会問題で「1%の壁」があるとされる。そうした壁を取り払うには、消費者からの後押しが大きな力になる。オーガニックにおいて、そのカギは企業との連携にあるという。
 金子氏らが有機栽培を行う埼玉県小川町の農場と提携する住宅メーカー・オクタの山本拓己氏は「企業の最優先使命は、つぶれないこと。エネルギーやTPPなど、市場経済が激動するなかで、『3・11が起きても小川町からコメが届く』ということに尽きる」と話した。それを受けて、金子氏は「何かあったときに、食とエネルギーと水を確保できるように。日本は森林資源67%。早く地下資源から地上資源の時代になるべき。食とエネルギーと水はすべて自給できた。これからは村に展開していきたい」と述べた。
 また藻谷氏は懐疑派の懸念を指摘し、「日本で起きているのは、世界的に交易で稼ぐことを前提とした地産地消。いくら工業製品を売っても、燃料代でトントンになっている。将来に備えて、少しずつ自己調達を増やしていこうということ」と解説した。

環境新聞2015年4月29日付掲載

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