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2015/06/05

全館挙げて初 異例の1カ月 、渋谷ヒカリエシンクス~エシカルキャンペーンが続々 下

fukuhara
エシカル日本

 東急百貨店は先月14日から今月17日にかけて、渋谷ヒカリエの地下3階から地上5階で運営するショッピング施設シンクスで全館を挙げたエシカルのキャンペーンを行っている。

 商業施設のキャンペーンとしては異例の約1カ月間という長期にわたり、催されるキャンペーン「Ethical Days」。その企画はファッションとデザインの合同展示会「rooms」(主催・アッシュ・ペー・フランス)の「エシカルエリア」プロデューサー・坂口真生氏が手掛けた。

 1階の正面玄関から中に入ると、まず最初に赤い文字で大きく書かれた「Ethical Days」の文字と自然や製品の循環を製品の循環の様子が描かれた絵が飛び込んでくる。さらに正面口の特設スペースには、ベンチの枠組みに溢れんばかりの木材チップが詰め込まれた不思議な展示物が。昨年のクリスマスに飾られたモミの木を再利用するプロジェクトの途中経過だ(先月21日現在)。期間中にアクリルで固められ、2脚のベンチが完成する。キャンペーン後は館内で使用されるという。

 キャンペーンでは前述の展示の他、2階、5階の特設スペースで4つの期間限定ショップが出店。1階にはキャンペーンの趣旨や渋谷ヒカリエの省エネルギーの取り組みなどを紹介するパネルも設置している。

 東急百貨店は環境月間の毎年6月頃に各店舗で環境にかかわるキャンペーンを行うが、「エシカル」をテーマにこれほど大規模なキャンペーンを打ち出したのは初めてだ。「お客様と一緒になって、気づいてもらうことを主題にやってみたいなと」と同社営業推進課の小川正己課長は話す。「ヒカリエシンクスの立地からすると、お客様に何らかの発信を続けていかないといけない。エシカルはその一つで、幅広い取り組みで世界に視野を広げられたら」。

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シンクスの顧客層は25歳から44歳の女性。一定の収入があり、自分の意思で購買を決められる層だ。また結婚・出産によるライフステージの変化も見込まれ、子供の肌に触れる物の「安心・安全」を重視するなど製品の背景を知る「エシカル」の概念が受け入れられやすいと見られる。

 シンクスには従来からオーガニックの雑貨や食品、伝統工芸品などエシカルに分類される商品が多数揃っており、キャンペーンを通じて焦点を当てる狙いもある。一方で各ショップにその意図を周知するのは難しく、「エシカルを発信して気づいてもらおうよと、それをどう伝えるか。同じことをやり続けるしかない」という。

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 消費者やテナントへの周知について坂口氏は、「コンセプトなので、押し付けにならないバランスが大事」という。各店舗スタッフの理解も、「回数を重ねることで変わっていく。キャンペーンのレベルが上がって、それによってお客さんが集まるようになれば」と述べた。

 今後は親会社の東急電鉄も巻き込み、ヒカリエビル全体へのキャンペーン拡大を目指す。「シンクスに行くと何かあると思ってもらえたら。即効性はなかなかないが、将来的なことも考えて訴えていきたい」という。消費者と直接向き合う百貨店や商業施設が続々とエシカルを打ち出してきた。買い物を通じて気付きを促すエシカルの発信拠点へ――。各地でのさらなる普及が見込まれそうだ。

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写真は上から「Ethical Days」のリーフレットに掲載の商品を紹介する様子、さまざまな障害を持つアーティストが米袋の生地に直接ペイントして製作された一点もののポーチ(期間限定ショップ「HUMORA(ユーモラ)」、不要になった商品や生地をリメイクして作る小物やアクセサリーのブランド(期間限定ショップ「Rema-K(リメーケイ)」

環境新聞2015年6月3日付掲載

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