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2015/09/04

国際認証講座 ~環境・社会・生物多様性・そしてエシカルヘ~⑤ 山口 真奈美

fukuhara
エシカル日本

 認証は森の保全に有効か?そうだと願いながらも、その問いを改めて考えさせられる出来事があった。友人の子供が小学生なのだが、夏休みの宿題が「毎日、環境日記を書くこと」。単なる日記ではなく、環境についてどんな行動をしたか、などを書くそうだ。時代もそんな時代になったのだと感心していたのだが、自由研究も環境関連のものにする予定だと。ごみ問題やリサイクルの話など、かなり深く学校でも教えてくれるようで、省エネのために電気を消す、モノを大切にしごみを増やさない、ペットボトルのリサイクルやキャップの回収、水道局のお仕事を学び、水がどこから来ているのかを知る等々、小学生でも取り組める内容はすでに学習済みの中、話題が多くあるにも拘わらず、毎日書くと「ネタが尽きて困ってしまう、違った話題を探している」と相談があった。しかも小学生でも理解できるもので何かないかと。


 以前から子供が学校で教わってきた環境情報を、家族が学ぶということは聞いたことがある。認証の中でも環境ラベリングに関係するものは、誰もが身近な製品についているマークもあるので、学校で教わっているかは不明だったが、そのあたりの切り口でいくつか手元にある環境絵本やパンフレットなどを送ってみた。
 環境に携わる人からすれば当然の話題が、消費者、ましてや子供たちともなると、初耳のものも多い。認証マークの認知度の低さと普及啓蒙の重要性は認識しているが、前回のテーマのパーム油認証のRSPOや、森林認証のFSCなどのマークも「全然知らなかった」とのことで、森と私たちとの繋がりについて詳しく話題提供をすることにした。
 まず、森が減少している話。森林破壊の原因には何があるのか、ボルネオの森を題材に今の森の現状とそこに棲む動物が危機に瀕している話、保全活動に取り組んでいる多くの団体や人々についてざっくりと触れ、私たちの身近な製品と繋がっていることを伝えた。その後、彼女が自分でまとめた自由研究の下書きを見せてもらったところ、良くまとめていて、最後に私宛にもらった質問には、
 1.森林がなくなって、動物が苦しんでいることについて、どう思いますか?
 2.私たちがボルネオのためにできることはなんですか?
 とあり、とても単純だが本質をついている質問で、自分のちょうど同じ小学校4年生の頃に思っていた疑問を思い出した次第である。


 そういえば、以前小学校に環境や省エネに関する授業のお手伝いに伺ったことがある。「みんなで環境のためにできることはなんでしょう?」と質問すると、大人が想定していた回答は電気を消すなどだったが、「呼吸をすると二酸化炭素を吐き出してしまうから、なるべく出さないように、ゆっくり呼吸するようにしています!」とか、「立派な研究者になって、オゾン層破壊や環境問題を解決するすごい発見をしたいです!」など、想像以上に深く考えている子供たちを目の当たりにし、無駄に不安を煽ったり、子供たちが真面目なゆえにちょっと違った行動に走らないような、伝え方の重要性を改めて感じた。
 森林保全に目を向けると、日本国内では手入れと間伐が必要で、木を切ることで森が維持できるから「木を切って使いましょう」となる。しかし、海外の森では皆伐や熱帯林の破壊などで絶滅に瀕する種が後を絶たず、「木を切らないで森を残そう」となり、今は「適切な森林管理がなされた森から切った木を使う」ことが推奨される。次回はその森林認証について、詳しく触れていきたい。

 やまぐち・まなみ/Control Union Japan 代表取締役

環境新聞2014年9月24日付掲載

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