倫理的消費研究会、強いメッセージ発信へ~中間取りまとめ論点
fukuhara消費者庁は先月16日に倫理的消費調査研究会の第5回会合を開き、来月予定する中間取りまとめの論点を明らかにした。論点は倫理的消費の意義や普及のポイントなどの基本的な理解を整理するもので、法的措置に関する考え方は示されない。委員からは消費者教育への姿勢など、強いメッセージを打ち出すべきとした意見が相次いだ。
中間取りまとめは今回の論点を基に各委員が提出した意見や会議での発言を受けてまとめられる。昨年11月に英国とノルウェーで行われた海外視察の調査結果も盛り込まれる見込みだ。
論点を受けて、平井伸治委員(鳥取県知事)は「メッセージ性を大事にすべき」と訴える。「世の中を変えるようなインパクトが必要。分かりやすい例示も入れて、調査会として迫るメッセージがあれば」と提案した。
また教育に関する発言が相次ぎ、西村隆男委員(横浜国立大学教授)は「消費者庁の消費者市民教育と倫理的消費は重なりあう。公教育における推進を大きく打ち出していただたい」と指摘。一方で、長浩氏(川崎市消費者行政センター室長、伊藤和良川崎市経済労働局長の代理出席)は「教育というより、若者がやりたいという雰囲気を作ることが大切では」との考えを示した。
葭内ありさ委員(御茶ノ水女子大学附属高校教諭)は、「(エシカルについては)本当のところが理解されず、感覚として若者が知っているレベル。(ユネスコスクールのように)エシカルハイスクールを作るなど、消費者庁ならではの強い打ち出し方ができれば。和製エシカルでも良いので、若者への理解を高められたら」などと述べた。
また会議では、同庁が先月12日に東京ビッグサイトで開いたシンポジウム「エシカル・ラボ」の開催結果を発表した。約170名が来場し、河野太郎内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)や安倍昭恵首相夫人らが列席する「大成功」(山本良一座長)に終わった。
板東久美子消費者庁長官は「一人ひとりの問題として、また多様な価値観を示すスタートラインとして大きな問題提起ができたのでは」として、「さらに多くの方が参加できるようにしていきたい」と今後の発展に期待を示した。
環境新聞2016年1月6日付掲載