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2015/04/03

自然と向き合う日本人の感性を表現~SHIGA2015AWコレクション

fukuhara
エシカル日本

 女性用ファッションブランドのSHIGA(代表・志賀亮太氏)は先月17日から23日、東京都内で2015年秋冬コレクションの展示会を開いた。観葉植物の成長を描いた前回に続き、植物が成長し、花が咲いた後の物語をテーマに。南アフリカ原産の園芸品種「ファンシーゼラニウム」の鮮やかな赤紫色から着想を得て、「トゲのある美しさ」をコートやジャケット、ドレスなどの作品で表現した。

 「野生のエレガンス」をブランドコンセプトとするSHIGAは昨年開始し、今回で3シーズン目となる新進ブランド。デザイナー・志賀亮太氏の信念に基づき、「命の重み」や「生命とのつながり」を意識したファッションがシーズンごとに提案されている。

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 白い糸で全面に刺繍を施した黒のコートは、今季を象徴する作品だ。刺繍の糸は手作業で一本一本切り離され、起毛した毛皮の質感を表現している。同じ技術を用いたブルゾンも発表した。

 志賀氏は、毛皮製品に強いこだわりを持つ。「日本人には、自然と向き合ってきた歴史がある。(そのことが)まっすぐ伝わる毛皮は外せない」と述べる。毛皮の生産農場も視察し、デンマーク・コペンハーゲンで適切な管理のもとで育てられ、生産された毛皮を仕入れている。仏・パリで経験を積んできた志賀氏は、ヨーロッパで培われたドレス文化の中で、日本的な感性を作品の細部に取り入れることを意識。「野生の持つ荒々しさに美しさを感じる」として、自然の中でではぐくまれた日本人の感性を引き出すことで、着る人の気持ちを高揚させる作品づくりに挑戦している。

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 コレクションに向けた調査の一環で、長野県の野生鳥獣の狩猟現場を訪れた。生態系や農業への被害が深刻として、対策が進められているシカやイノシシの狩猟、解体現場だ。「それを見ても命あるものを使うのか、問い直したかった」という。反対意見もあるが、「地球上に存在しているということをおのおのが考えることが大事。批判があるのは当然で、議論できることが考えることにつながる。それを投げかけるきっかけになれば」と話す。 

  有効活用されずに処分されてしまう鳥獣の皮革を使い、バッグを生産する計画が進められている。実現すれば、同ブランド初の国産皮革製品となる。「美しいものを作れる人はたくさんいる。背景を考えることがオリジナリティ」と話す同氏。社会的な課題への関心をものづくりの発想に生かす取り組みに、生産活動の中で社会課題に向き合う手がかりがありそうだ。

 毛皮のコートは24万円。刺繍のコートは24万円、ブルゾンは12万1500円(全て税抜)。

 問い合わせは(info@ryotashiga.com)まで。

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