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2016/06/15

ソーシャルコンシェルジュのエシカル手帖⑪~ファッション業界の「責任ある変革」 林民子

fukuhara
エシカル日本

 “サステナブルファッションのダボス会議”と言われている「コペンハーゲン ファッション サミット(Copenhagen Fashion Summit)」に参加するためデンマークの首都、コペンハーゲンを訪れた。デンマークは、今年の「世界幸福度ランキング」で「世界で最も幸福な国」に選ばれた国であり、環境に対しても意識の高い国として知られる。

 コペンハーゲンは、2012年に『CPH2025気候プラン』を策定し、25年までに、排出される二酸化炭素を自然エネルギーの導入などによって相殺するカーボンニュートラルな首都になるため、具体策を着実に実施している。
 風力発電などの再生可能エネルギーは市民の消費量以上あり、近隣諸国に売電するほど。さらに、“世界一のレストラン”として名声高い「NOMA」もある食文化も豊かな国。世界有数のオーガニック食材の生産国であり、消費国でもあり、国民一人当たりのオーガニック生産物購入量は世界一の水準と言われる。
 知る度にいつかは訪れてみたいと思っていた、まさに“理想のサステナブル タウン”。そのコペンハーゲンが、今、世界のサステナブルファッションのハブ(中心地)にもなっている。
 「コペンハーゲン・ファッション・サミット」は、COP15(国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議)が09年に初めてコペンハーゲンで行われたことがきっかけで、2年ごとに世界中のファッション業界関係者が集まり、ファッションにおけるサステナビリティ(持続可能性)を考える場として定着し、今年で4回目を迎えた。

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上写真は会場「コペンハーゲンコンサートホール」の様子、下はデンマークのメアリー王太子妃の基調講演

 毎回サミットの模様をチェックし、今年こそ参加したい!と思っていたのが、ようやく実現。改めて、現場で世界の動向を知るほど、世界中のファッションブランドにとってサステナビリティは必要不可欠なものであると実感する機会となった。
 今年は5月12日に、52カ国から1250名の参加者が集い、丸1日8時間のプログラムで行わられた。参加チケットは開催日の数週間も前に完売となるほどの反響。今回のサミットのテーマである「レスポンシブル イノーベーション(Responsible Innovation)」 について世界のエシカルファッションを牽引するオピニオンリーダー52人が登壇した。
 パタゴニア、H&M、ナイキなどのグローバルブランド、そして、ステラ・マッカートニーやグッチなどのラグジュアリーブランドを持つケリング社やルイ・ヴィトンやセリーヌなどを展開するLVMHグループの「最高サステナビリティ責任者」(CSO= Chief Sustainability Officer)や経営者、各国の主要なファッションメディアの編集長や有名ファッションジャーナリスト、サステナブルファッションを教える大学の教授、レスボンシブルファッションを推進する政府関係者など、さまざまな角度からのプロジェクト事例や直面している課題などが発表された。

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パネルディスカッション “メディアの力” The Business of Fashion 編集長 Imran Amed、インドVOGUE編集長Bandana Dewari、オーストラリアVOGUE編集長Edwina Mccann、中国モダンメディア ディレクターShaway Yeh

 プログラムの中で一番印象に残ったのは、連動イベントとして開催されていたヤングファッションサミット。40カ国から集まった、ファッションを学ぶ学生達が、17項目からなる「国連の持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」の実現のためにファッション業界に要求することを議論し、まとめた7つの具体的な提案。若者たちが今後背負う環境/社会問題を解決するために、ファッション業界がどのように責任あるイノーベション(変革)を起こすべきか? 
 観客であるファッション業界関係者の大人達への切実な訴えが今も心に残っている。

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『ヤングファッションサミット』学生たちの発表シーン

 サミットで見聞してきたこと、関心を持たれた方々にぜひ詳細をお伝えしたいと思っています。また、日本のリスポンシブルファッションの先進的な取組をより深く勉強し、
 このサミットがきっかけで、世界の人たちにもっと知ってもらいたいという気持ちもさらに強くなりました。そのための勉強会を開催していきたいと思っています。一緒に情報/意見交換をしながら学び合い、ぜひ次回のサミット、一緒に参加しませんか?
 第一回目の勉強会を6月29日(水)に東京青山にて開催予定です。

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NPO Social Concierge 主催 
第一回目 サステナブルファッション勉強会
『コペンハーゲン ファッション サミット』報告会(前半45分)+交流会(後半45分)
 
日時:6月29日(水)  (Open18:30- )19:00-20:30 
場所:東京青山 *申込いただいた方へ場所の詳細メールにてご案内いたします。
申込方法: info@socialconciege.orgへ「件名:6月29日SF勉強会」を明記し、お名前、参加人数、連絡先(できましたら当日連絡がつく携帯番号)をご連絡ください。

*交流会では、ささやかながらお茶菓子をご用意いたします。
皆様のご参加心よりお待ちしております!
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メアリー王太子妃を迎える、『コペンハーゲン ファッションサミット』代表でデンマークファッション協会(Danish Fashion Institute)CEOのエバ・クルーズ(Eva Kruse)

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ランチブレイク風景

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ランチもオーガニック

一番上の写真は『コペンハーゲン ファッション サミット』総合司会を務めるモデル、女優のアンバー・バレット(Amber Valletta) と米TV番組「CNNスタイル」のホスト、デレック・ブラスバーグ(Derek Blasberg) 

はやし・たみこ/NPO法人ソーシャル コンシェルジュ/SHOKAYジャパンオフィス 代表

環境新聞2016年6月15日付掲載

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