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2016/05/30

商品のラベルに注目、エシカル判断の手段に~「エシカルラベル」シンポジウム初開催

fukuhara
エシカル日本

 オーガニックやフェアトレード、持続可能な森林管理など、環境や人権に配慮した製品・サービスを認証するラベルへの理解を広げる「第1回エシカルに纏わるラベルと認証制度 シンポジウム」(日本エシカル推進協議会主催)が26日、東京都中央区のイトーキ東京イノベーションセンター SYNQAで開かれた。

 シンポジウムは3部構成で、日本環境協会の森嶌昭夫理事長による特別講演(第1部)に加え、フェアトレード・ラベルやFSC(持続可能な森林認証)、MSC(持続可能な漁業認証)、GOTS(オーガニックコットン認証)などのラベルについて、それぞれの普及啓発を担う団体の代表者らが講演(第2部)した。

 第3部では、「エシカルラベルの重要性と普及の課題」と題したパネル討論(コーディネーター:レスポンスアビリティ 足立直樹代表取締役)が開かれ、自社製品のラベル認証を進める製品メーカーと認証製品を展開する流通企業、また消費者団体の立場から闊達な議論が行われた。

(パネリスト)

大石美奈子氏(日本消費者生活アドバイザー・コンサルタント/相談員協会理事環境委員長)、田中秀輝氏(花王執行役員/購買部門統括)、金丸 治子氏(イオングループ環境・社会貢献部部長)、稲垣貢哉氏(興和営業第6部所属、Textile Exchange Governance Board of Director)、山口真奈美氏(FEM/Control Union Japan 代表取締役)※以下敬称略

 ――エシカル、持続可能な原材料をつかうということが、日本の場合はまだ意識になっていない。

 山口:認証に取り組む企業、日本企業の場合は、取引先に言われて仕方なくという場合が多いが、戦略的に使ったり、リスクマネジメントの一環として当たり前のようにやると。商品にラベルを付けていなくても、調達で使っているという企業は海外ではおおいに見られる。日本ではどのようにやっていくか。

 ――海外の消費者と日本の消費者の反応に違いがあると言われる。

 大石:消費者にはいろいろな方がいるので、全員がエシカルに関心があるということはない。世の中にそういう人の割合がどれだけ増えていくかということが大事で、そのためには事業者からある程度情報を出していただかないと、ないところから消費者に気づけというのは難しい。

 ――企業側のコミュニケーションは宣伝と捉えられ、信じてもらえない。どうしたら良いだろうか。

 大石:企業姿勢として、社会的な責任として自分たちがこういうことに取り組んでいるということが伝われば、うさんくさいというような捉え方をしないのでは。

 稲垣:(子供たちは)フェアトレード、オーガニックは家庭科の授業で勉強する。教科書に載っており、それで関心を持つ子供が増えている。

 ――若い世代は意識が違うと。

 金丸:子供たちは教科書を見て知っている。イオンのお店にある(※各店舗でMSC認証の鮮魚などを展開)からぜひ見に来たいという中学生や高校生、大学生がいる。自分たちで研究会を作り、私たちは発表の機会を提供する。子供たちが自分たちで考えることで、話が盛り上がっていく、広がっていくことを期待している。

 ――2020年東京オリンピック・パラリンピックが(エシカルラベル普及の)大きなドライバーになるかもしれないと思っている。今まで以上にアピールしやすくなった。

 山口:オリンピックにその認証が入るかどうか皆さん気にされるが、入らなかったらやらないというのはどうなのかと思っている。一つのきっかけで自分たちの調達を振り返って見直す良いきっかけになる。認証に頼らなくても信頼性を担保できるスキームを構築してくのが大事。認証はサプライチェーン全部辿らなくても、一つ手前まで聞けば自動的につながる。オリンピックだけでなく、その先に今の日本を4、5年でどう変えていくかのチャンスと見てもらえれば。

 大石:環境や倫理的なものに消費者が気付くために、イベントはすごく大事。これをきっかけに消費者が変わったと言われるようなオリンピックになって欲しい。企業は自分たちがまじめにやっていることを伝えてもらわないと、消費者は問題に気づきにくい。ぜひ伝えて欲しい。

 ――エシカルは今、ほとんどがボランタリー。コストがかかり、楽ではない。すぐに儲かるものではないが、将来的には着実に消費者の支持を得られる。原材料を安定的に調達する意味もある。将来的に求められている。

 金丸:ラベルが付いていることが当たり前になれば、ラベルはなくなっていく。ただ今の段階ではラベルの意味がある。(消費者に)買っていただくのが大事なこと。(ラベルを)広めていくため、しばらくは続けていきたい。

 田中:ベンチマークをすると、私たちは特に進んでいない(※独自の環境ラベルを洗剤などの自社製品に表示し、製品の台紙や段ボールにFSC認証を取得、表示している)。世の中にははるかに進んでいる会社がある。そこに追い付きたい。まだまだやらないといけないことがたくさんある。

 山口:自分たちが使っているものや来ているものがどこから来ているのか。思っていなくても(環境)破壊に加担することがある。ラベルはそれを判断する一つの手段。なくなるように取り組んでいく。環境・エコだけでなく社会的な部分も含めて一緒に考えてやっていかないといけない。皆様と問題を共有しながら、(このシンポジウムを)2回、3回と続けていきたい。

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写真は上からパネルディスカッションの様子、会場に展示された認証製品を見学する来場者ら

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